魔法
小さい頃、誰も気づいていないだけで
みんなが実は魔法が使えると思っていました
空を飛ぶだとか火を操るだとか
そんな派手なのはまず無理だろうけど
例えば花を綺麗に咲かせたり
歌をコップに閉じ込めたり
数秒だけ宙に物を浮かせたり
鏡の中の自分と話したり
些細だけどちょっと「おっ」ってなりそうな物事
そんな小さな魔法ならがんばれば習得できると思って
鏡に向かってジャンケンする試行回数を稼いでみたり
ひたすら紙コップに向かって声を吹き込んでみたり
鏡の向こうの自分でも読めるように文字の練習をしたり
色々と挑戦しては玉砕していました
科学的な原理原則などを理解した今でも
あの時諦めずに続けていたら
あるいはもう少しセンスがあれば
もしかしたら今頃ちょっとした魔法が使えるようになっていたんじゃないかなって
ちょっとだけ思います
ちょっとだけ