世界は今日も美しい

政治と野球のことは書きません。

何もないへの落とし穴

夜が明けても

それからまた夜が明けても

おそ松さんが尾を引いています

 

何もない大人がテーマとなった

ショートコント「おそ松おじさん」

 

張りのない、不健康そうな肌

不摂生を絵に描いたような弱々しい髪

半分以上抜け落ちたボロボロの歯

 

ゴミ袋とダンボールの並ぶ

雑然とした、殺風景な部屋

ひび割れた壁と窓

卑しく、

 

それでも

かつては妻子がいたことが窺われて

ギャンブルで身を持ち崩す前は

仕事もしていた模様で

学校帰りの無垢な子供には

今でも不思議と慕われる

おそ松おじさんには「最低限の人間性がある」

 

「何もない」男おそ松おじさんが

哀れまれる対象として描かれることで

 

そして

彼が今の状況に至ったのは

誰しもが多かれ少なかれ抱く他者への劣等感と

その苦しみを紛らわすための現実逃避の手段を

たまたま間違ってしまった結果で

誰しもがいつでも「おそ松おじさん」以下になってもおかしくない

 

それでもこの話に救われるのは

哀れみから差し出された(ように見えた)

子供からの救いの手を

きちんと振り払うことができた

おそ松おじさん、

もとい

何もないおじさんになりきった男

松野おそ松の意地を見ることができたから

 

こんなことに思いがいたる時は

だいたいの場合

寒くてねむくてお腹が空いてるだけって

じゃりン子チエに書いてあったので

早いとこごはんにありついて寝ようと思います